りょくかじだい 緑夏時代

アクセスカウンタ

zoom RSS 冷暗な理由

<<   作成日時 : 2008/03/24 15:02   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

五郎の「冷たくて暗い感じがする」という医師としての評判は彼が意図的に醸し出した雰囲気だった。
貴方あるいは貴方の妻や娘が在胎22週で体重が500gの超未熟児を出産したと仮定しよう。通常なら医療従事者は「おめでとうございます」と家族に声をかける。しかしいくら医療が進歩して救命しうるようになっても重度の後障害が遺る可能性が高い瀕死の患児を目前にして、明るい声で「よかったね、大丈夫だよ」と楽しそうに誕生を祝えるものではない。どんなに経験があっても、いや経験を積めば積むほどその子供の将来を案じれば憂鬱な気分に包まれる。医師は心の中で「もう駄目かもしれない」と呟きたくなるが、それは決して言葉にしてはならない。何故なら言葉には魂が宿るので「駄目」と思った次の瞬間に死神を呼び込んでしまうからだ。そういう時に五郎医師は「予定日より早く生まれてとても小さいので暫くの間は保育器でお預かりしますね」とだけ伝えるようにしていた。良い時は明るく「おめでとう」と楽しげに語りかけていると、そういう態度を脇で見ていた家族に「うちの子は悪いんだわ」と表情で状態を悟られてしまい収拾が付かなくなってしまうことを恐れていたのだった。

「明るくて暖かい」冷蔵庫が商品として値打ちが無いように、五郎は「暗くて冷たい」のは医師としての知的財産であると考えていた。その方が腐敗しにくいのだ。病原菌は暖かい場所の方が繁殖し易いのだ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
22週の出産自体が異常だから、この子の親族は異常が出る、または
ある可能性は持ってることは承知だと思います。
びよんど
2008/03/26 14:04
人間はいつか必ず死ぬ宿命であることは承知している。しかしずっと先のことと思っていたら突然に当事者になって驚愕するのです。
伯爵
2008/03/26 15:37

コメントする help

ニックネーム
本 文
冷暗な理由 りょくかじだい 緑夏時代/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる